前回の記事に少しだけ登場したアマチュア無線用のトランシーバーについて。あまり製品レビューのような事を書くのは得意ではありませんが、たまには書いてみます。
アルインコのDJ-S57という機種を購入しました。144MHz帯(2m band)と430MHz帯(70cm band)に対応する所謂デュアルバンド型のFMトランシーバーです。
アルインコって無線機器以外にも、はしごとかランニングマシンも製造しているんですね。最近まで知りませんでした。
本体の公称サイズは横幅58×高さ110×厚さ34.1mm(付属バッテリーパック装着時)で重量は約270g(アンテナ、バッテリーパック装着時)となっています。
この機種を購入した理由はシンプルで無駄がないデザイン、耐塵防水である、どことなく業務用っぽく見えるというところです。
最近のこの手のトランシーバーって機能の多さ故にボタンが多く操作が複雑であることが多いのです。
ところがこの機種はシンプルに144MHz帯と430MHz帯のアナログ音声通信のみで、ボタンも少なく操作が簡単です。使用頻度の高い機能は単純操作で、拡張機能はファンクションキーや長押しで作動させることができます。
それからIP67に相当する耐塵防水ボディのトランシーバーはアマチュア無線用では意外に少なく、アウトドアで使用したい者としては必須条件と考えていました。
付属のバッテリーはリチウムイオンバッテリーパック(7.5v 950mAh)
それから有難い事に乾電池ケース(単三電池6本で駆動)が標準で付属されています。多くの製品では別売であることが多いのに本当に親切だなあと思います。
ハンドストラップは2通りの取り付け方が可能で写真のようにボディの上部後端中央に取り付けるか、バッテリーのベルトクリップ取り付けねじに装着することができます。下の写真参照
ベルトクリップの下にストラップコードを潜らせることが可能
左側面から眺めるとこんな感じ。薄すぎず、厚すぎずちょうど良い厚みだと思います。
ちなみにベルトクリップはベルトには少し留めにくいです(^^; ポケットなど厚みのない箇所には簡単に留められます。
スイッチは上からファンクション、PTT(送話スイッチ)、モニタ(スケルチ開放)と並んでいます。実にシンプル!
ガラホと呼ばれるアンドロイドOS搭載の二つ折り携帯電話を愛用していますが、それと比べてもこの通りほとんど大きさは変わりません。
以前、ハンディトランシーバーはバーテックススタンダードのVX-7という50/144/430のトリプルバンド機を愛用していましたが、それよりもコンパクトに思えます。高さは低かったかもしれませんが横幅と厚みがあったのでしょうか。
VX-7も今思えば名機でした。既に生産終了、後継機種も無し。
右側面は外部電源入力用の端子が備えられています。
このように眺めると、サイズはほとんどガラホと変わりませんね。
上面にはアンテナ端子(SMA-J)と外部マイクのジャック、ダイアルが並びます。防塵防水性を高めるため外部マイクのジャックはねじ込み式で、外部マイクを使用しない場合に取り付けておくキャップも同様にねじ込む方式になっています。写真ではキャップをゴムから取り外していますが、通常取り外さないようです。誤ってました。
専用ソフトケースに入れ、外部マイクを取り付けた状態です。
メモリー機能とチャンネルネーム機能を使用すると業務用っぽく見えますね。ちなみに外付けのスピーカーマイクはVX-7の純正アクセサリーです。ジャックを見て「もしや…」と思い取り付けるとピッタリ。
但し取説では純正品を使用するようにと明記されており、メーカーの意図に反した使用法となりますので自己責任で。
ごめんなさい、ソフトケースはもう少し頑張ってほしかったです…。
正面が電源ボタンの都合上仕方ないのかもしれませんが、ほとんど透明ビニールです。この透明のビニールは耐候性が低いと思います。劣化すると黄ばんだり、破れたりするでしょう…。
またケースに入れていても、トランシーバー本体の底面が露出するので、無造作に地面などの上に置くと傷が付いてしまいそうです。
次に機能面ですが、電源ボタンは1秒間押すと起動します。立ち上がると同時に送信したり、周波数を変えたりと直ぐに操作できます。
前述のようにダイアルは主に周波数やメモリーのチャンネル操作で用いますが、正面のVOLボタンを押すと音量調整ができSQLボタンを押すとスケルチの強弱が調整できます。
送受信可能な周波数範囲は144~146MHzと430~440MHzで受信に限っては136~173MHzと420~470MHzとなっています。ラジオ放送は受信できないけれど、多少の業務無線なら受信できる…と言った感じです。
出力はLowが0.5wとMiddleが初期値で2w、Hiが5wの3段階切替式でMiddleパワーはサブセットモードの32項目目で約1~3wの間で11段階に調整できます。
あまり使用機会は無いかもですが、選択交信機能としてトーンスケルチとデジタルコードスケルチにも対応しています。
レピータシフト機能にも対応しています。439MHzの範囲では自動的に送信周波数が-5MHz変位します。滅多に変えることはないと思いますがオフセット周波数もセットモードの4項目目で変更できます。
アマチュア用トランシーバーでは珍しく、エンドピー機能も搭載されていて送信の終わりに「ピッ」という電子音を付加することが可能です。通常の設定ではOFFとなっています。
メモリー機能はコールチャンネル(書換可能消去不可)とプログラムスキャンのバンドエッジ下限及び上限設定用が各バンドに1ch、発信機探索用(FOXハンティング用らしい…)が10ch、そして通常メモリーが200ch書き込めるようになっています。
あとはメモリーや設定内容を別の同機種にコピーできるクローン機能もあったり、ファームウェアのバージョン確認機能もあります。ファームウェアのバージョン確認ってのは初めてです。将来的な機能拡充もあるのでしょうか。
まだ全ての機能を試したわけではありませんが、必要最低限の機能しか搭載しておらずボタンも少ない上に操作が簡単なので、全てを使いこなせるようになるまでそう時間は掛からないでしょう。
しかし山々が迫る我が家では電波が入りにくいので、久しぶりに山に登って運用してみたいところです。
レピータ(中継局)があれば良いのですが、アマチュア無線人口が少ない時代ですから設置も難しいでしょう。
拙い文章でしたが簡単にレビューさせていただきました。
※注意!※
このトランシーバーを使用するには第四級アマチュア無線技士以上の無線従事者免許が必要です。また運用にあたってはアマチュア無線局免許が必要であり、アマチュア無線以外の目的に使用することは法律で禁止されています。(金銭上の利益を目的とした業務用には使用不可)
あまり身近には影響しないかもしれませんが、必要な資格免許を取得せずに不法開設する無線局が長年問題となっています。(コールサイン不送出やチャンネルの占拠、目的外使用)